その後のこと。

Side:H
【残尾】

（本編続きから）

部屋に招き入れるやいなや、彼は地に頭を擦り付けた。
用件は粗方予想をつけていた故にさほど驚きはしなかったが、それにしては随分と唐突なものだ。
彼の気質を考えれば今こうして水煙草を吸っていることも咎められそうなものだが、果たして目に入っているのやら。
「本当に、申し訳なかった。この通りだ」
それからというもの、彼はそれしか口にしていない。返答に困っているのは確かだが、このままずっと他人の頭を眺めているのは気持ちの良いものではなかった。
「…一先ず、顔を上げてくれないか」
そう促して漸くムハンナドは頭を上げた。視線が変わらず地へと向けられているのは、未だ残る悔悟の為か。
「もう歩けるのか、回復が早いな」
「……あんたはどうなんだ」
「まぁまぁだ。背の傷がまだ響くが」
返した言葉にムハンナドの頭がまた下がりかかる。煙管で瓶を鳴らし、それを制した。
それでも彼の顔色は一目に分かる程暗く陰りを見せている。

地に伏せていた両手が強く握られた。嗚呼、そこまで握れば皮膚を裂いてしまうだろうに。
「…俺の不手際だ、同士討ちなどあってはならないことだった」
「あってしまったことは仕方ない。責めるべきは互いじゃない」
「だが俺はあんたを殺そうとした！」
「死にかけたのは君だろう」
己の短刀に仕込んだ毒は遅効性であったにせよ、死に至ってもおかしくはないものであった。あの時、ハーティムが割って入らなければ彼はこうして此処に居ないだろう。
運が良かったな。そう軽口と共に甘ったるい煙を吐いた。

「どちらにせよ、次に用心するだけの話だ。尾を残すな、足に絡む」
これ以上、此方から言うことも聞くこともない。もういいだろうと、煙管で入り口を示し下がるようにと伝える。
だが、思うよりも彼は強情のようだ。
「……それでも、先にあいつを倒していれば、あの状況は回避出来ただろう」
怪訝に目を細めた。
「何が言いたい」
「あそこでとどめをさし損ねたのは俺だ。俺が、俺が止まっていなければ！」


嗚呼、なんだ。単純な話だ。

『自分が強ければ』

彼は、そう言いたいのだ。


思わず煙管を噛んだ。音が聞こえたのか、ムハンナドの肩が揺れた。
「ムハンナド君」
呼び掛けた声に反応はなかった。それを良しとし、そのまま続ける。
「それはつまり…逆を言えば君は、僕は戦士としてここまでとでも言いたいのか」
「！そんなことは誰も、」
「ムハンナド君」
呼び掛け、制す。
「驕るな」

「先のことは君なりに悔いていることがあるだろう。だが、それは僕とて同じことだ」
水煙草の灰が燻り、塊がぼろと崩れた。今日の分はこれで仕舞いか、興が削がれたことも否めず若干物足りなさがある。
残る煙を吸い込み、甘い香りを吐き出した。
「賊との戦い方はこの隊商の誰よりも熟知していると自負している。幻術を使われることも珍しくない。それを知っていて、これだ」
包帯に巻かれた半身と右腕に目を配り、左肩を竦めた。
その仕種が彼にとっても痛いことは、彼がすまなそうに目を逸らす前から分かりきっていたことだ。
「今回は互いに互い憂うことがある。だが、それをずっと負われるとまるで僕が足手まといのようだ」
「そんなつもりはない。俺が足りていなかったから、」
「それが驕りだと言っている」
思わず漏れた苦笑に首を振り、説教じみてきたなとその苦笑が自嘲に変わる。

「足りないということはまだ伸びる自信があるんだろう。君の言い方はまるで僕にはそれがないようだ」
そこまで言われ漸く、ムハンナドは此方の言うことを理解したようだ。
久しぶりに交わった視線の先に、見開かれた金の瞳があった。
「僕の負った傷は僕のものだ。責任も含めて、君にとやかく言われる筋合いはない。君に対してもそれは同じことだ」
今度こそ、これ以上何もない。
何を返されようが、此方の信念は変わりはしないのだ。

「さぁ、いらない尾は切っていけ。捨てるのが嫌なら、喰ってしまえば良い」

――――――――――――――――――――――――――――
ムハンナド（@Nasatoさん）お借りしました。

【死闘】のその後になります。
蟠りはぽいぽいしちゃおうね。

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色々と題名で悩むよね。

公式に一つ、落として参りました。
Nasatoとの合作になります！うはぁい、有難う御座いましたっ！
もう、思う存分、やらせて頂きました！がっつり戦闘のフルボッコのだらだらです。目的が戦闘じゃなくてお互い血塗れにしてやろうだったから仕方ない。（ｷﾘｯ。

そして清さんにバラカートを、卍さんにクタイバを狩って頂きました、これは美味しいっ。
学者同士だよ、ちゃんと議論してるよ！王子のお菓子美味しいです。（むしゃぁ。
クタムニ通常運行有難う御座います、でもムニラちゃんは可愛いねぇ。（´ー｀*



そして、遂に公開されましたね二周年…っ！
まずは小説が沢山で嬉しい、めっさ嬉しい。今年はNasatoさんと涙流しながら抱き合わずに済みました。

此方からは二本、小説を出させて頂きました。
一周年のときと被るかなー、と思ったんですが、バラカートは宴会で食ってる様しか思い浮かびませんでした。バラスィニを期待したのかぃ？それは残念だったねぇ。（ﾄﾞﾔｧ。
クライズクラウも色々考えましたが、あれが一番らしいと思いまして。というか、あの並びは偶然なのでしょうか、運営の策略なのでしょうか。（笑。
題名を「輪の外側」にすれば良かったと思わずにはいられません。
お借りさせて頂いた皆さん有難う御座いました！

作品の一つ一つに感想したいところですが、既にあっぷあっぷせざるを得ないですね。（笑。
だが言わせてくれ、千影さんとnina6さんは我々の腹筋を完全に崩壊させていった。どういうことなのｗｗｗ
あと、あさなぎさん貴方荒ぶりすぎです、良くやった。

有難いことに、私の子4人とも使って頂いたようで。（ぶわっ）有難う御座いますっ！
腕相撲で賭けに加わっていたり、嫁様と静かに飲んでたり、楽士一同に介してみたり、バカップル見送ってみたり、包囲網に乱入してみたり、イヴ先生ともぐもぐしてたり、ラングさんにｷﾞﾘｨされたり、連打してもぐもぐしてたり。
ともかくもう有難う御座います！皆大好きだ！

あとリア充は爆発していけば良い。

どろどろ。

Side:H
【死闘】
（※流血描写があります。ご注意下さい）

（小話、上記リンクから）

Nasatoさんと合作させて頂きました！
もう、色々と、思う存分にやらせて頂きました。満足です。（爽。

Nasatoさん有難う御座いましたー！そしてラナーさん本当ごめんなｓ

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改めて。

下の記事でもお伝えしましたが、カキカキ企画IIの作品を全て展示しました。
参加者の皆さんお疲れ様でした、そして有難う御座いました！
これにてカキカキ企画IIの更新を終了させて頂きます。あ、でも追加で展示して、というのがあったら遠慮なく言ってｎ

次回については今のところ予定はありません。やるんでしょうかね、やらないんでしょうかね。（・ω・）
他の企画もどんどん動いてくれたら宜しいんじゃないかな！（・ω・三・ω・）

以下感想タイムですが、なんだか長くなりそうなので畳んでしまおう。そうしよう。

・ご新規さんいらっしゃいませ！そしてお帰りの方お久しぶりですっ！
どうぞ（また）宜しくしてやって下さい！（・∀・）ノ
そして今回脱退者さん多いっ。（ぶわっ）お疲れ様でした、またお帰りになられたらそのときはまた…っ！

・遅ればせながら鳥漫画読ませて頂きました。お疲れ様でした、どうぞお元気でっ！
お帰りになられるまでリーンちゃんはしっかりお預かりしまｓ（ｽﾊﾟｧﾝ。

・そ　し　て　ワ　ハ　ル　さ　ん
何から言えば良いか分かりませんが、まずは小説お疲れ様でした！
有難いことにクライズクラウとハナシュを混ぜて頂いた上に大変美味しい役回りを頂きました。これは、良い、薄暗さっ！（くわっ。
元々ハナシュにはこういうことをやらせたかったので、凄いイメージ通りで有難いやら恐縮やらで。こんな美味しくて良いんでしょうか。（ごろごろ。
後はえぇと、えぇと、娘さんと仲良くしていってね！（ﾀﾞｯ。

・THUNDERさん宅でアリババさんに学者が拉致られました。（ぁ。
学者とドバさんは仲良しですよ。＾＾　すいません、キーラさん賑やかしますｗ
そこはかとなくスィニ様が楽しそうでほんわかしました。有難う御座いますー。（´∀｀*

・2周年、テーマの方でバラカートとクライズクラウ分無事に受理メール頂きました。合同は色々無理だった…。
確認して下さった方々有難う御座いました、いつもお世話になってます！
ファウザ隊を合わせて、展示楽しみにしておりますっ！

・他に何か、あった気がせんでもない。

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カキカキ情報

4/4
更新しました。
12：オヤジと少女と白いネコ

4/22
更新しました。
1：――銀の花、散る前に
3：白蛇にかく祈りき

7/3
更新しました。
11：エビエンのちょっとした努力
14：依頼

以上で全ての作品の展示が完了致しました。
改めてご参加下さいました皆さん、有難う御座いました！